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第18回 企業訪問 EBRI香港ツアー

更新日:2022年6月9日



EBRI事務局担当の岩松美千子こと、「みっちゃん」が会員企業各社を訪問させて頂いて、インタビューした内容を紹介するコーナーです。


今回の「みっちゃんが行く!」はなんと、

初の海外遠征です!!!








参加者は

   有限会社地神コンサルティング 小堀氏

   株式会社国際環境デザイン協会 兒玉氏

   株式会社キューベック     大橋氏

   株式会社イーサプライズ    徳利氏

   アーバンシステム株式会社   小柴氏

   環境ビジネス総合研究所    岩松

以上の6名でした。










小堀氏を今回のツアーの団長とし、一行は現地法人や政府へ出向き、各社商品のプレゼンや、ミーティング、兒玉氏コケ補修工事、展示会訪問、懇親会など、3泊4日の限られた日程の中、スケジュールをこなして参りました。

(一日目) 東京ビックサイトの展示会にてお名刺交換させて頂いた、高砂熱学工業香港支社の三宮(さんぐう)氏と簡単なミーティング後、夕食の為レイユームンへ。ここは地元の新鮮な海産物を使った料理が有名。シーフード料理を囲み、和僑会の高橋さんをご紹介頂き、会のご案内のお話を伺いました。










○香港和僑会

香港和僑会は2004年に設立、海外で起業する人、企業のリーダーを目指す人全て「和僑」とし、これらの人達の育成と支援に尽くす。また、世界の様々な企業との交流により、和僑メンバーの事業発展に貢献することを使命としています。

メリットとして、自分自身の成長(講演会・交流会・勉強会の開催)、人脈の広がり(世界に広がるネットワークでの人脈の広がり)、事業の発展(会員同士や提携団体との情報交換により事業発展へ貢献)、経営相談(多くの講師陣やスポンサー企業を通じて問題解決)、社会への貢献(世界に広がる起業家ネットワークにより叡智を結集させ、次の世代へよりよい社会作りに貢献出来る)があります。



(二日目)

○「香港国際 建築資材・装飾資材・機械設備展2010」見学

環境に配慮した建築資材・装飾資材・機械設備を扱う「グリーンビルディングゾーン」と「テスト・検査・認証ゾーン」、「ホーム・オフィス・アウトドア用アクセサリーゾーン」に分類されていました。

中でも特に、床材やドアの取っ手、バスタブなど、室内装飾関係の展示ブースが多く見られました。

出展企業は地元香港の企業が主ですが、中国本土からの出展企業も多く、中国の製造業の積極的な新市場参入が感じられ、中国の建築業界との足がかりとして有効な展示会であると思いました。ただし、総合的な商品を扱っている企業は少ないようなので、特定な商品に絞ってということになります。










○香港環境保護署訪問

日本の環境事業にも興味があり、組織トップのユウさんが2009年末に日本に来日し、ごみ処理と電気自動車について勉強しました。現在、エネルギー関係や各種政策についても勉強しています。他には香港の環境をどのように守っていくかという政策を行っています。

まず、エネルギーの維持管理。特に電気や発電をどうやって発展するか、管理するかに我々は一番関心を持っています。これからは継続的に使用出来るエネルギーをどのように上手く使えるかを政策のひとつとしています。

メインの仕事は水の汚れや空気の問題について観察しています。中国の工業は今すごく発展していますが、水や空気の汚染がひどく、問題になっています。

あとは、建物。どのように環境問題に合わせるかという政策を作ります。

最後に教育。学生や若い世代に環境問題がどうして大事か教育します。

香港の財務年度は毎年3月からです。今年2010年は2011年まで香港の政府は環境問題について約117億H$かけるつもりです。117億H$の中でまず、55億H$位は水の浄化、29億H$は廃物の管理、13億H$は様々な環境問題へ、5億H$はエネルギーの発展またはそれに関る研究費、残り5億H$は緑化などにかかる予定です。

香港のゴミ処理は埋め立てしています。現在の処理場はあと5年か10年でいっぱいになってしまうので、場所の確保も問題になっています。そのため、日本に行ってどのようにゴミ処理をしているのか勉強に行きました。

水問題について、水質浄化施設は何箇所かあり、システムにとてもお金がかかっています。これからはまとめて一箇所で処理する方向を考えています。炭素の割合についても研究しています。

これから始める新しい政策は、地域冷暖房システムです。これから香港はもっと発展して行くのでその前に、建物単位でセントラルクーラーシステムを入れようと考えています。

実は香港のエネルギー消費の割合は建物の中の電気だけで90%位かかります。香港の環境問題を良くする為にはまず、建物の中の電力消費を抑えれば良くなると思っています。

審査して電力の消費がおさえられるのがわかれば、香港の政府は費用の半分を援助します。4億H$位用意してその資金として応援します。この1年半で1000案件ほど補助金を出しました。内容は照明とエアコンの改善についてです。

一番は電気を消費しないように、建物には太陽発電機をつけました、緑化もします。緑化をすればエネルギーの消費も少なくなることを調査し、証明しました。緑化して温度がどれだけ下がったというより、電力の消費をどれだけ押さえられたかと言う方が重要です。

また、香港貿易発展局と協力して、新しいものの導入や紹介の為に展示会も開催しています。香港の商品も多いですが、中国の製品もあり、売買が盛んです。

香港の政府はいろんなことを考えて、また作っています。建物はどうやって造ればもっとエネルギーの消費を抑えられるか考えています。またそのアドバイスもしています。

法律がまだ整ってないので、この2年間で法律を成り立てようと頑張っています。












(三日目)

○Midas Plus社訪問


1940年代から空調設備が誕生しました。コンプレッサーの加熱、冷却のサイクルについては今までたくさんの科学者とかエンジニアが工夫してかなり完璧なシステムになっているので、これ以上の改善はあまり期待できません。制御システムはまだ改善の余地があります。ただし、この制御システムに期待出来る改善は、冷却のパワーが良くなるのではなく、または効率を高めることでもなく、ピーク時の無駄になるところを少しは減らせる。大きな進歩をハードウエアに期待することは出来ません。冷媒に目を向けるべきです。

フロンガスというのはCFC(クロロフルオロカーボン)。フッ素と塩素が入っていてオゾンを破壊します。HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)はやや環境にやさしく、大気中存在年数は15年程度です。年数が長くなるのは中に塩素とかフッ素が存在するからです。

冷媒を作るとき、従来品はかなり大きな分子で、水素と炭素で作ったHC冷媒は小さな分子になり、同じ容量で考えた場合、塩素やフッ素は大きいから、同じ中に1個しか入らないが、小さい水素とか炭素で作ると8個入ります。それは表面面積が違います。面積が大きいだけで、熱を発散する力は1.8倍違います。今まで1キロの冷媒を使わなくていけなかったところ、新しいHCの冷媒を使うと四分の一でいいので効率が良くなる。普通、圧力を作るときは電力のパワーが必要になる。それほど圧力が必要でなくなるとお金もそんなにかけなくても良くなります。HC冷媒のいいところはまず環境にやさしい。熱の伝導率の効率がいい。圧力が小さくて済むからお金も節約できる。長持ちもする。耐用年数は従来より10%から20%アップするでしょう。ノイズが少なくなるから静かになって、振動も少なくなるから、家庭では好まれます。

アメリカのデュポン社はR290とR600aの冷媒を2000年に出しました。しかしあまり普及していません。2005年後以降に出した冷蔵庫にはR600aがあります。どうして多く出回っていないかというと、やはりデメリットがあるからです。それはプロパンガスの一種になってしまうからです。可燃性であるから、安全性の面でやや懸念される。そこがマイナスです。これから安全性の問題が解決出来ればメリットを全て享受することが出来ます。ただし、値段は高いです。CFCよりHCのタイプの方が10倍くらい高い。

HCが実際に少しずつ使われるようになっただけではなく、特に環境に関心のある国では使い方とか使い道に関する法律や規定が出来ています。ドイツやオーストラリアがそうです。中国やアメリカはガイドラインなどを出しています。世界的に見た場合、一番早く進んでいるのが、ドイツを含めたヨーロッパとオーストラリア、アメリカと中国です。 エアコン機器そのままで、冷媒を従来のR22からR134aやR410に入れ変えるとき、いくつかの問題がありました。潤滑剤やパイプのサイズが異なるのでそれをあわせなくてはなりません。HCの優れたところは潤滑油やパイプも替えなくてもそのまま切り替えて取り替えるだけでOKです。政府もHCを積極的に検討しています。

私たちは環境の最前線にいるので、自分の知識を高めて、もっとみなさんに認知してもらうのが使命と思っています。知らなかったからみなさんにも理解して欲しいと思います。


「OPTO22」


R290とR600aは同じHCタイプですが、かなり性質が違います。R600aの方がパワー(冷却能力)は大きいが省エネの面ではR290の方が上です。エディさんの商品は両方の機能を合体したものです。制御システムの名前は「OPTO22」。ミックステクノロジー社はこのディーラーをやっており、安全を解決するのに、この「OPTO22」の制御システムが必要になってきます。エディさんから冷媒、パートナーからこの制御システム。プロパンガスをそのまま使えればいいのですがコントロールしないと使えません。石油製品になるので硫黄が入っています。量は多くないのですが硫黄は腐食させてしまうので、作るときある程度濃度を抑えて、プロパンガスを制御します。

香港の高層ビルの場合、6割から7割の空調設備というのは、プラントルームで管理しているのが大半ですが、そこでこの「OPTO22」の制御システムを使用しています。


エディさんは他にもレストランを経営しており、ランチはこちらの「FACTORY 99」で頂きました。

◆冷媒についてのまとめ◆(通訳:ジョアンさん資料参照)


1.環境に悪い冷媒CFCとHCFC:

・R-12(CFC-12またはFreon-12、化学名:CF2Cl2)。

        N.B. Freonは、デュポン社が製造したフロンガス製品の名前。

・R-22(HCFC-22または代替フロン、化学名:CHF2Cl)


2.環境に少し優しい冷媒HFC:

・R-134a(HFC-134a、化学名:H2F4C2)

・R-404a(HFC-125+HFC-143a+HFC-134aの混合冷媒)

・R-407(例えば、R-407cは、HFC-32+HFC-125+HFC-134aの混合冷媒)

・R-410(例えば、R-410aは、HFC-32+HFC-125の混合冷媒)


HFCに関しては、


各冷媒のGWP(Global Warming Potentialまたは地球温暖化係数)は、下記のPDFファイルのP.36でご覧いただけます。    http://www.hkaee.org.hk/questcms/userfile/File/tc/download/CarbonLess_Buildings_chi_15Sept10.pdf


3.一番理想の冷媒HC(日本では「新冷媒」または「自然冷媒」と呼ばれております):

・R-290(プロパン(Propane)、化学名:C3H8)

・R-600a(イソブタン(Isobutane)、化学名:C4H10)


  HC冷媒のことは、下記のHPに掲載されております:






















(最終日)

○小学校にてコケの補修工事


2010年3月、小学校のコンテナハウスの屋上に国際環境デザイン協会㈱のエコモスシステム(屋上緑化)のテスト施工を行い、今回はコケの生育状況の観察と補修工事を行いました。

最近、校舎の外壁塗装をしたとのことで、コケの上には白い塗装片がちらほら‥エアコンの室外機が側にあることから表面に変色もあり、残念ながら絶好調ではありませんでした。しかし、ここ一ヶ月雨が降らなかったにもかかわらず、コケはしっかり生きていました。

今後は、もっと日差しがいい校舎屋上と、生徒のみなさんもよく見える廊下横にコケのパレットを分けて配置し、経過を見ることになりました。これからの季節、香港も寒くなってきますが、コケも力強く生育して欲しいですね。

最後にこの小学校の校長先生から、今回の緑化システムに感謝状を頂きました。また、来年あたりにコケに関してのセミナーを開催して欲しいとのご要望もありました。



小学校
記念写真
コケの補修中









感謝状頂きました
ジャッキーチェンの手形
ブルースリーの銅像




















今回、香港にて偶然出会った株式会社遊天セラミックスの小森氏と株式会社タグボートの西本氏は私達とすぐに意気投合。途中から打ち合わせや会食に同行し、すっかりEBRIツアーの一員となりました。

香港の環境事情を直接感じ、現地企業や日本企業との出会いもあり、とても有意義なツアーでした。


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